京都・醍醐の花見
4月1日、今週は1週間寒い日が続き、木金曜日は雪がちらつく程寒い日だった。関東や静岡では桜が満開らしいので、京都へ桜を見に行く予定にしていたけど、この寒さで桜が 咲いているかどうか・・・。この日は朝から結構暖かくなったけど天気は薄曇り。どうしようか迷ったけど、予定通り京都へ花見に行くことにしました。

行き先はあの太閤豊臣秀吉が、その絶頂期に近隣諸国から700本の桜を移植させ、盛大な花見の宴を開いた醍醐寺です。醍醐寺は真言宗の宗祖・弘法大師の孫弟子の 理源大師・聖宝が874年に創建しました。開創後は、醍醐・朱雀・村上の三代に渡り天皇の深い帰依により数々の堂や五重塔が建立され、真言密教の中心的寺として信仰を あつめたのだけど、何度も火災にあり、応仁の乱では五重塔を残し大半が焼失、荒廃しました。その後長く復興されなかったけど、1598年の太閤秀吉が開いた醍醐の花見を契機に 豊臣家によって再建され、江戸時代に入っても、醍醐寺歴代座主が居住する三宝院が、幕府から当山派修験の本山と位置づけられ、信仰が集まり活気を取り戻しました。 秀吉が開いた醍醐の花見は荘厳な花見だったようで、当時の秀吉の力の凄さと、桃山文化の華やかさを表す花見の宴だったようです。

その醍醐寺へは、亀山から関西本線で山の中を通って柘植駅へ。ここはすごい山の中を通ってます。亀山から次の駅の関駅までは普通の風景だけど、関を過ぎるともう民家はほとんどみられない 山の中の線路です。でも河も所々流れてて、それなりに景色は良いですね。柘植駅からは草津線に乗り換え、途中忍者で有名な甲賀を通って滋賀県の琵琶湖のほとりにある草津へ。 草津からは東海道線で京都の仁科へ。そこから地下鉄に乗って醍醐駅へ、約2時間の電車の旅です。
醍醐駅からはシャトルバスも出てるけど、歩いても10分から15分位だから歩いて行くことにした。駅から団地の中の歩道を通って約10分、目の前に醍醐寺が見えてきました。
しかし、やはり桜はまだちらほらしか咲いていません。左の写真が醍醐寺の総門をくぐって仁王門へ向かう道です。道の両脇に桜の木が沢山並んでいるけど、残念ながら大半の木が つぼみです。この桜が全て満開だったらどんなに荘厳な景色だったかと思うと残念です。来週だったらこの桜が満開なんだろうけど、残念ながら来週再来週と予定があり、この春に 京都に来ることが出来るのは今週ぐらいですから・・・。
この道の真ん中ぐらいに写真右の唐門があります。これは桃山時代の三宝院の勅使門で、創建時は門全体が黒の漆塗りで、天皇家の菊の紋と豊臣家の桐 の紋は金箔が施されていたそうです。残念ながら今は少し金箔の跡が残っている程度ですが、それでも国宝に指定されています。
桜が全然咲いていないかと言うとそんな事も無く、木によって開花時期がずれる様で、写真の様にほぼ満開に近い木もあります。咲いている木が少ないので、このように満開に近い桜の木の下には、写真を撮ろうと 沢山の観光客が群がってます。かくゆう私もその一人ですが・・・・。
でも日本人は桜が好きですよね。年配の方もそうですが、若いカップルも沢山来ていて、携帯のデジカメで写真を撮ったり、桜の花をバックに写真を撮ったりしてます。
ここは醍醐寺の境内ですから、当然のことながら宴会は禁止です。従ってシートを敷いて飲み食いする人はまったく居ません。従ってただただ桜を観るだけなんだけど、こんなに沢山の人がいるなんて、桜好きの日本人 ですよね。あ、でも外国人の姿も多く観られます。やはり綺麗なものは世界共通ってことかな。
この建物はやはり国宝の金堂です。この金堂は926年に醍醐天皇により創建されましたがその後焼失し、豊臣秀吉の命で紀州(和歌山県)湯浅から1600年の豊臣秀頼の時代に移築 されました。この金堂が醍醐寺の中心のお堂で、安置されている薬師如来坐像が醍醐寺の本尊だそうです。
これは、清瀧宮拝殿で行われていた御祈祷の様子です。全員が目の前の机に積み重ねてあるお経の本?(約10冊ぐらい重ねてありました)を手に取り、大きな声でお経を唱え、写真の様にお経をパラパラと一気にめくってます。 その間約数十秒。これで書いてあるお経が読めるの?って感じでした。そして1冊めくり終わると、なんと机にお経を叩きつけて机の上に積み重ね、次のお経を手にとりパラパラめくるってのを繰り返してます。大切なお経を 机に叩きつけて良いの?
その清瀧宮拝殿の向かい側には、この五重塔があります。これももちろん国宝で、醍醐天皇の菩提を弔うため、皇子の朱雀天皇が936年に着工し、完成は951年の村上天皇の時代です。 高さは38メートルで屋根の上の相輪は13メートルと、塔の1/3を占めてるそうです。
更に奥に進むと弁天堂です。写真でも判りますが、この庭園風の池の周りには桜の木が沢山植えられています。残念ながら桜がほとんど咲いていないけど、これが満開だったらどんなに美しい風景かって考えると・・・・。 この弁天堂の右側にはお茶席があり、お茶や御菓子が食べられます。桜が満開なら最高のお茶席なんでしょうけどね。この弁天堂が醍醐寺境内の一番奥です。更に奥に上醍醐寺がありますが、今回は桜を観るのが メインだったのでここまでで引き返しました。

戻って、今度は三宝院へ。ここは庭園や襖絵など、全てが国宝や重要文化財に指定されています。中では写真撮影禁止なので残念ながら写真はありませんが、歴史を感じさせる見事な襖絵や、醍醐の花見に際して豊臣秀吉自らが設計した 庭園がありました。まさにここには太閤秀吉絶頂期の桃山文化の華やかな雰囲気を感じることが出来ます。

その後霊宝館に入りました。ここも完全撮影禁止ですが、中には数々の文化財や歴史の資料が沢山展示されてます。醍醐の花見で秀吉、秀頼、前田利家、淀の方、北の政所等が詩を詠んだ時の詩が展示されてます。
結局花見に来たのだけれど、桜はほとんどがつぼみで、何とか満開近くまで咲いている木を探して写真に収めました。ここの良い所はこれだけ沢山の桜があるにもかかわらず、ブルーシートを広げて花を見るのではなく、お酒を飲んで 大騒ぎする花見客はまったく居ないことですね。変わりに写真の様に桜の下にお茶席があり、御茶や饅頭等を食べられる所があちらこちらにあります。これが本当のお花見ですよね。桜を観ながらお茶を飲み御菓子をほおばる。 日本全国桜の名所は数多く有るけど、大半が下品な花見客とゴミで台無しって所が多いですからね。みんなせめてゴミは持ち帰り、お酒飲むのも良いけどちゃんと桜の花を見ようよ!

今回は、電車で来た事もあり時間が気になって醍醐寺やその周辺の観光が十分出来なかったけど、今度花見の時期以外に車で来て、もう一度色々な歴史の足跡を辿って見たいと思ってます。
なお、醍醐寺の紹介は真言宗醍醐派総本山醍醐寺ホームページを参照下さい。

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